卒室生の体験談

音楽の道に進んだ方だけでなく、卒室生の活躍は多方面に広がっています。

子供のころの音楽体験が、音楽分野はもちろんのこと、他の道にも活かされています。

<音楽のこと> 小田佳奈子 東京大学文学部行動文化学科社会学専修課程卒業

私は,音楽家の道に進んでいないのですが,音教では,プロになる子と同じように基礎からきちんと教えていただきました。大学進学後も長くチェロを続けていられるのは,そのお蔭だと思っています。というのも,しばらくチェロの練習ができなくても,体が基礎を覚えているので,あまりにも弾けなくてがっかりすることなく(もちろん少しはがっかりしますが),自力で練習を再開することがきるからです。音楽は,趣味だとしても,上手になろうと思ったら真剣に練習するまとまった時間が必要だと思います。大人になって趣味で始めた方などが,練習時間をとれないためになかなか上手にならない,と苦労されているのを見聞きすると,子どもの頃から音教で習っていて良かったとしみじみと思います。

また,レベルが高いということも音教の良いところだと思います。私は,音教の中では決して優等生ではありませんでしたが,それでも趣味の世界では苦労することがありません。室内楽でも社会人オーケストラでも重宝されますし,その度に新しいコミュニティに参加できることも嬉しいことの1つです。

 「集中力と忍耐力」―― いわゆる教育的効果,という意味で言えば,集中力と忍耐力は音教で鍛えられたと思います。土曜日の午後,小学校の授業1時間分よりずっと長い時間,聴音やソルフェージュをしましたが,たとえば聴音など,集中して聴かないと正解できないので,じっくり一所懸命に音と向き合っているうちに時間が過ぎていました。それを毎週繰り返すので,いつのまにか集中力が身に着いていたのではないでしょうか。また,実技では,どうしても弾けるようにならなかったり,しかられたりすると辛いので,何度も泣きながらやめたいと訴えましたが,先生方はどこ吹く風で,一向に取り合ってくれませんでした(笑)。結局,弾けるようになればスッキリ。妥協しないための忍耐力は,その経験で育てられたと思います。

<感謝> 北田千尋 桐朋学園大学音楽科1年(ヴァイオリン)

 (受賞歴)

  2011年 全日本学生音楽コンクール

        全国大会中学生の部第1

             併せて東儀賞,兎束賞,

        音楽奨励賞,ANA賞受賞。

      広島市長より

           『フェニックス賞』を受賞。

 2012年 広島教育委員会より

         『メイプル賞』を受賞。

     いしかわミュージックアカデミー

           IMA奨励賞受賞。           

 2015年 ミュージックアカデミーin

           みやざきにおいて奨励賞受賞。

     

 

 子供のための音楽教室との出会いは,小学1年生の時です。父の転勤の関係で東京在住だったので,仙川教室からスタートしました。小学5年生の時,再び地元の広島に戻り,中学3年生まで広島教室に通わせていただきました。それまで通っていた仙川教室では,ソルフェージュは同級生ばかりのクラスでしたが,広島教室では学年が様々なクラスでしたので,同じクラスの2,3歳年上のお姉さんたちにあこがれつつ,少し背伸びしながら楽しく通っていたことを覚えています。

 室内楽の授業もとても印象に残っています。生徒だけでなく。先生方と一緒に演奏させていただけるのがうれしくて,大変勉強になりました。音楽高校への進学を希望していましたので,受験のための勉強も必要でしたが,先生方がとても熱心にご指導くださり,不安を感じることもなく受験することができました。

 アットホームな温かい雰囲気の中,のびのびと音楽の勉強を続けることができたことをとても感謝しています。

<広島教室での6年間> 吉見友貴 調布市立神代中学校3年(ピアノ)

 (受賞歴)

  第12回ショパン国際ピアノコンクール

        in ASIA 小学34年生部門

        全国大会 金賞

 第66回全日本学生音楽コンクール

       ピアノ部門小学校の部

       大阪大会 第2

 第67回全日本学生音楽コンクール

       ピアノ部門中学校の部

       東京大会 第3

 第68回全日本学生音楽コンクール

       ピアノ部門中学校の部

       東京大会 第1

 第1回デザインK国際ピアノ

       コンクール グランプリ

 第1回桐朋学園全国ジュニア

       音楽コンクール

       中学生の部 第1

  第86回日本音楽コンクール 

       ピアノ部門第1位

                          

 私は,小学生の間広島教室に通い基礎からしっかり指導していただいたことが,今の学習に十分生かされていると感じています。毎週土曜日に行われているソルフェージュの授業は,賑やかで楽しい雰囲気が流れています。合唱の時間や作曲の時間もあり,作曲に関しては,年1回の演奏会で披露させていただく機会がありました。自分の作品を人前で演奏する喜びをとても覚えています。

 ピアノでは,技術的なことはもちろん表現の面やステージマナーまで,大切なことをたくさん教えていただきました。先生方は,一人一人の個性をとても大切にして教えてくださいます。音楽を楽しみながら学んだ6年間でした。

<私の原点> 神代里奈  桐朋学園女子高等学校音楽科2年(ピアノ)

 (受賞歴)

  第62回全日本学生音楽コンクール

      東京大会ピアノ部門中学校の部 

      奨励賞

 第1回デザインK

  国際ピアノコンクール

    高校部門 第2

 

 広島は私のふるさとです。小学5年生になるまで,自然豊かな広島でのびのびと過ごしました。

 広島教室では,少人数でアットホームな雰囲気の中,細やかなご指導をしていただきました。私は,音楽教室に入って初めてソルフェージュを勉強したので,最初は何もわからなくて不安でしたが,先生方の丁寧なご指導により,基礎から発展的なことまで,たくさんのことを学ぶことができました。また,当時切磋琢磨し合い一緒に学んだ友人たちは,進路はみんな違いますが,今でも良いお付き合いをしています。

 実技も,音楽教室に入るまでは,近所のピアノ教室でただのんびりと弾いているだけでしたが,音楽教室の先生には。手の形から打鍵の仕方,レッスンを受けるうえでの礼儀的なことなど,基礎を一から教えていただきました。

 現在,音楽高校にて様々なことを学んでいますが,すべて当時教えていただいたことが大切な基盤となっていると感じます。広島教室は,私の音楽の原点です。

<子供の可能性> 吉長孝穂 42期卒業生&チェロ教師&在室生保護者

 5歳の時、音楽とは無縁の両親の元に生まれた私が、家から一番近いただそれだけの理由で出会ったこの教室。

 『桐朋』という学校のことも知ず、広島教室へ通わせ続けた両親。高校から寮生活が始まり、長い長い桐朋学園での生活が終わり、親となった今、今度は我が子を通わせたいと考えるように。

 将来、子供たちが音楽の道に進みたいと言い出しても、まわり道しなくていい、小さな頃から本物をとの想いで、自分の歩んできた環境が有り難い存在だったと感じるからこそ、この教室を選んだ。

 5歳になった娘の入室。3歳になる手前の弟は、毎週くっついて来て、初めの30分一緒に部屋へ入れてもらい、みんなで歌ったり手遊びしたりを、参加するわけでもなく、座り込んでただただ見聞きしているのみ。幼稚園のお遊戯会や、学習発表会では棒立ちの息子。上手に出来ないからと、自信がなく、やることができないのです。

 そのうち、先生が弾いてくださるピアノに合わせて、歩いたり、小走りしたり、曲の雰囲気を感じ、拍をとれるようになってきた頃、幼稚園での学習発表会で小太鼓を叩きました。

 

 前には合図を送る先生。合図を見るなり叩くお友達もいる中、聴こえてくる 音楽に合わせて叩く姿が。カスタネットすら鳴らせない、動かない息子が、堂々と撥を叩く姿に変身していました。歌も歌えるようになり、知らず知らずのうちに楽譜を読んだり、ドイツ音名で歌ったり。

 自分の記憶にない幼い頃の、続けることの大切さを、今は我が子を通して再確認しています。瞳輝く子供の、最大限の可能性を伸ばしてゆく環境においてやること、それを叶えてくれる教室が、ここにあります。

<子供のための音楽教室で得たこと>                                                                                                  小原(旧姓橋本)友紀子 上智大学,神戸大学法科大学院卒業,弁護士

1.はじめに

 私は,中学1年の途中まで別の音楽教室に通っていましたが,より深く音楽を学びたいと思い,桐朋学園子どものための音楽教室広島教室の門を叩きました。

 教室の生徒さんは,音楽高校,音楽大学を目指す方も多いかと思いますが,私は,いろいろな事情から,音楽大学へ行かず,普通の大学へ進みました。そんな私から見た,子どものための音楽教室へ行っていて良かったと思うことをお話したいと思います。

2.本物に触れられること

 音楽教室では,時々遠方から先生がいらっしゃって,特別授業がありました。作曲をしたり,歌ったりする特別授業は楽しかったですし,世界で活躍できる音楽家を目指す人たちの空気に触れられて新鮮でした。

 また広島教室の先生方は,全員桐朋を卒業された方で,後進の育成にあたる傍ら,ご自身の演奏会をなさっていたため,レッスンの合間に先生が練習しておられる音が聞こえてきたりして,一つのことをこつこつと努力し続けることをの大切さ,かっこよさを学ぶことができました。

 一つのことを追求する姿勢,極めようとする姿勢を学んだことは,現在仕事をするようになっても,とても大切なことだと感じています。

3.緊張感の中で演奏し,自信がつくこと

 音楽教室では,個人レッスンの成果を発表する場として,春に試験,夏に発表会がありました。試験,発表会とも,東京等から特別に先生方が来られ,とても緊張感のあるものでした。

 演奏は一発勝負であるため,暗譜が飛ばないか,練習通りの成果が出せるか等,心配事はつきません。それでも,練習をしっかりして舞台に立つことを毎年繰り返すうち,自分の緊張感のコントロールの仕方や,どの程度の準備をすればどのような結果が出るのかを把握するのがとても上手くなったと思います。

 この能力は,その後,大学入試や司法試験でも活躍しました。「あの緊張感の中で,あの曲が弾けたのだから,今回も大丈夫」という自信につながったと思います。

4.温かい先生方

 ピアノの先生との全人的なおつきあいも音楽教室で得られたかけがえのないものの一つです。

 ピアノに関しては厳しくても,「勉強もピアノも両方できるように」と配慮してくださり,定期テストや入試の前にも休まずにレッスンに行くと褒めてくださったやさしい先生。将来勉強の道に進むか,音楽学校へ行くか迷ったときも,ずっと温かく見守っていただき,結局音大へ行かないことになった後も,高校卒業までずっと支えてくださいました。

5.まとめ

 以上のとおり,桐朋学園子どものための音楽教室広島教室は,音楽学校へいくお子さんはもちろんのこと,勉強の学校へ行くお子様に対してもとても良いお教室だと思います。 音楽を深く勉強できる場所ですので,是非一度レッスンに来てみてください。

<かけがえのない経験> 面川優里 一橋大学3年

私が音楽教室に通い始めたのは6歳の時でした。ピアノを先に習っていて,音感やリズム感を養うためには必須だったので,自然に習い始めました。毎週土曜日の昼下がり,前のクラスを待っていると,様々なメロディーが響き合っていたのを思い出し,素敵な学び舎にいたのだなと思います。

それから中学受験を挟み休んだ時期もありましたが,中学3年まで通い続けました。

ソルフェージュや音取りで養った音感やリズム感は,常にピアノの練習に生きており,ピアノを続けるのをやめた今でも,音楽の素晴らしさをそこから感じています。

ある先生が言われた,「耳の中に一度できた音感は,一生消えないんだよ」という言葉が,今も身にしみています。音楽を通して自分を表現することで,喜びや楽しさを感じ,こうやって年月が経つと,音楽を学んできてよかった,音楽は人生をなんと豊かにしてくれるものなのだろうと感じます。

音楽を知ることは,1日にしてはなりません。しかし,私は幼い頃からこうしてもらった財産を,これからも大切にしたいと思っています。

音楽教室に通わせてくれた両親,そして一生懸命教えてくださった先生方に,ここに感謝いたします。